「曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きてゐた。そこには芸術も宗教もあった。いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである。宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷く暗い。芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した。いま宗教家・芸術家とは真善若くは美を独占し販るものである。われらに購ふべき力もなく 又さるものを必要とせぬ。いまやわれらは新たに正しき道を行き、われらの美をば創らねばならぬ。芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」(宮沢賢治「芸術をもてあの灰色の労働を燃せ」)