「かつて武士社会ではどんなに暑くても、袴を着けてビシッとして殿様に会いにいっていたわけです。ここで日本人の心の中に忍耐、忍従という心が生まれてきます。忍耐していくとどうなるか。心がゆがんでくるし、捻れてきます。この忍耐、忍従の心が数寄屋建築を生み、茶室建築を生んだのです。それは数寄屋建築の床柱に見られる、あのギューッとし捻れていたり、グニャーッとゆがんでいたりする、ああいう美学を生み出したのです。日本の美学はすべてにおいて、この高温多湿からくる、忍耐、忍従に支配され、負の美学を生み出してきたのです。」(出江寛)