「憐みの声である。そして自然の銘のある、輝く銀の、大きな杯を、第八の娘の前に出した。第八の娘の、今まで結んでいた唇が、この時始めて開かれた。『mon.verre.nest.pas.grand.mais.je.bois.dans.mon.verre。』沈んだ、しかも鋭い声であった。『わたくしの杯は大きくはございません。それでもわたくしはわたくしの杯で戴きます。』と云ったのである。」(森鴎外『杯』)