「硝子戸の中から外を見渡すと、霜徐をした芭蕉だの、赤い実の梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが、その他にこれといって数え立てるほどのものは殆ど視線に入って来ない。書斎にいる私の眼界は極めて単調でそうしてまた極めて狭いのである。」(夏目漱石『硝子戸の中』)